小川大工と石場建て

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小川大工と石場建て

さて、今日は、石場建ての想いについて。私、大工が思う最高の工法は石場建てです。巷では、伝統構法という言葉だけが独り歩きしてるように思えますが、伝統構法にはっきりした定義はなく、僕は、石場建てでなければ伝統構法ではないと思っています。

僕には、親方が二人いて、一人目の親方は、宍粟市の地元の親方。二人目は姫路市のとっても厳しかった親方。その親方たちに伝統構法での建て方は教わっていない。

そもそも僕が、石場建ての家や、伝統構法建築を生業に生きていくとは、十数年前までは思っていなかった。もともと、伝統的な技法で家を建てる事には興味はあったが、実際に仕事で使う伝統的仕事の真似事は、手刻みで建てていたのと、通し柱と胴にはコミセンで固定していた程度。そもそも在来工法だし、手刻みとはいえ、今のプレカットの仕口と大きく変わらない。

二人目の親方の元を出て、兄弟子の元で働き、その後に独立してから、伝統構法に方向転換し始める。そのきっかけは、「伝統木構造の会」に入会してから大きく僕の大工人生が変わっていく。

二人目の親方の元に居る時に、姫路市に自宅を建てる。(当時26歳)当時は、洋風の建物が好みだったように思う。仕様は、構造は米松、手刻みで、やはり通し柱にコミセンだけを打つ仕様。内装はというと、新建材の床に、壁・天井はPB下地にクロス貼り。数年をその家で過ごした頃に、兄弟子の元を卒業し独立した。最初は、良かれと思い建てた家ですが、やはり、新建材で覆われた家。愛着はわかず、扱いは荒くなる一方。ある時、ふと思う。自分で納得できない家をお客さんに提供できない・・・そこからが始まり。

独立後、3軒目の施工。

独立して、4軒はコンクリート基礎のある家を施工した。4軒目の家では、差し鴨居をいれ、大貫で土壁をつけさせてもらった。徐々に伝統的な色が増してきた。

 

その矢先、父親が亡くなる。相当なショックを受けたが、このことをきっかけに大きく道が分かれてきた。当時は、石場建ての家を自分が建てるなんて夢だと思っていたが、伝統木構造の会の先輩方の知恵をお借りしたりして、自宅を新築することを計画した。今もそうですが、何かの縁が繋がり、また次の縁に繋がり、そうなったと思う。

初めてのひかり付け。

無事に棟も上がり。

発酵土もつけた。

今、石場建ての家に住んでいますが、薪ストーブを使えば、土壁と相性がいいので、冬は暖かい。夏は涼しく、内地材と発酵土の環境はホコリも少ないし、何より健康的。しかも地震に強く、産業廃棄物の発生も極めて少ない。これ以上の工法は他にはないと言い切れる。大工が造り、そこで生活しているのだから、間違いないと思う。

時々、小川建築の家を見学にやって来られ、スルーし、他の工務店で建てられる方もいます。縁もなかったのかとは思いますが、僕は、その方たちが、「幸せを逃がしたな」と思うわけです。なぜなら、細部まで気配りができる工務店は少ないし、何かの奇跡的な縁があり、奇跡的にここまで来られたにも関わらず、それをご破算して、自ら縁や運を捨ててしまっています。僕は、自分が施工した仕事を、お客さんに絶対喜んで頂ける自負があります。なぜなら、自分の家で大失敗してるので、ポイントを心得てるし、細かな配慮をしながら仕事を進めることができます。

そして、僕自身が、仕事をする上で、その根底には何があるか、それは、施主さんを喜ばせたい。施主さんに幸せに暮らしてもらいたいと考えながら仕事をしています。

住まい手が、幸せに暮らせる方法は、大きく三つあります。

一つ目は、安心して暮らせる事、それは石場建てであること。

二つ目は、健康で暮らせる事、それは木や土を使い、石油製品など新建材を使わないこと。

三つめは、長持ちする事。長く持つことで浪費を減らし、孫末代まで暮らせる事。

不健康な30年住宅が当たり前に建てられているこの時代、周りに惑わされることなく、自分の信念を強く持ち前に進みたい。

少しでも世の中を良くしたい。幸せに暮らせる方を増やしたい。そして、伝統構法の建築が好きだから。お金儲けだけの為に、嘘やごまかしの建築をするつもりはない。

世の中の多くの大工さんは、したくない工法で、使いたくない材料を使い、生活のために目をつぶって仕事をしてる方がほとんどだと思います。でも、僕は自分に嘘はつきたくないし、自分が楽しいと思わないことはしたくない。石場建ての工法は、多くの方が知らないし理解もされていないので、受注も少なく理想を求めると生活は苦しいですが、大工を続けるなら、石場建てしかないし、大工は世直しができる職業だと思っています。これから進む道はオフロードですが、僕はその道を選択します。

今後も伝統構法・石場建てで、正真正銘の本当の家を造り続けます。

 

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